
愛好会会員の山本正夫氏が、自費出版された
答案とその後
ー共育抄録ー
岡山理科大学での講義内容と講義を受けた学生の授業を受けた意見を書かれている貴重な
教育(著者はあえて共育という用語を用いています。その理由は読めばよくわかります。
私は、2章に出てくるK・Kさんのレポートに強い印象を受けました。
K・Kさんは小学校時代の苦しみを的確な言葉で表現しています。唯一の小学校の思い出を、決して楽しい思い出ばかりではなく、その中から「一人の友だちとの出逢い」を記憶の底から呼び出し、肯定的にとらえていくようになったのは、すばらしいと思います。
子ども時代の思い出を嫌なこと、否定的なこととしてとらえられている学生達が、その現実に目を背けない(文章化するということ)は、自分のアイデンティティを作るためには、必要なことだと思っていました。
文章化すると単純に書いていますが、学生をその気にさせて、現実を受け入れて文章化している原動力が山本先生の授業だと思います。
「さあ、君達の子どもの頃の思い出を書きなさい」と指示しても大学生でしたらある程度表面的に形になった文章を書くことができます。
そうではなくて、自分の過去を受け入れて書く、自分の過去をふまえて書くという行為には、書き手にある視点を持つようにしないと、通り一遍な書き方に終始します。
それらの視点が無い書き方でも、上手で読みやすいものを書けます。いわゆる評価が高いものは書けるのです。
ところが、心理的な脱皮(成長)を図っている文章というのは、なかなか書けません。
先生の授業の記録は、幾つかの視点を授業で提示し、考えさせ、実行しているために、書けるようになっています。(すばらしいことです)
第4章を見るとそれらの視点は明らかです。
ところで、山本氏は、私達が当たり前のような言葉の意味をもう一度授業で再吟味し、言葉の持つ本来の意味を明らかにして、授業を進めていきます。言葉というのは、大切なことです。「愛」「人格」などから始まって、学生達の心の眼が開く様が学生達の言葉で書き進められていきます。
教育関係者は一度読んでいただきたいと思いますが、自費出版で手が入りません。
もし希望者がいましたら、メールをして下さい。
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投稿者: 管理人 日時: 2009年02月25日 20:07