seri1.jpg unmei6.jpg 音楽と女性 1 : 芹沢光治良文学愛好会

2008年01月23日

音楽と女性 1

 1960年(昭和35年)に『女生のための音楽教養講座』 第二巻 が出版されました。その中で 2 音楽と女性

というところで芹沢光治良氏も執筆しています。目次を見ますと、音楽と女性 野村光一氏が書かれています。

次に音楽家と恋愛という章が始まります。その最初のページに芹沢氏は、「モーツアルトの結婚」を書いています。

他にどなたが書いているかここに記します。

 「不滅の恋人」について ーベートーベンー  佐多稲子

佐多稲子氏は、戦後の女性をめぐる様々な問題を発表いています。佐多が描くベートーベンの「不滅の恋人」にも興味が湧きますね。

 「不滅の恋人」問題とはベートーベンが亡くなった翌日、一通の恋文が発見された事から始まります。ベートーベンが遺言書に書いていた有価証券を探している時、有価証券が見つかった人目のつきにくい秘密の場所に、女性のミニチュアの肖像画と共に、その恋文が発見された事から始まります。当然、この恋文の相手は誰かということで、「不滅の恋人」の問題が始まったのです。その恋人は、20世紀前半まではエルデーデ伯爵夫人と言われていた。

 しかし、この「不滅の恋人」問題の過程で、ベートーベン像が変化してきました。ベートーベン像は超人的で悲壮感をただよわせた英雄のイメージですよね。小学校の音楽室に飾ってある肖像画のようなものです。ところが、ロマンロランの「恋人」研究で、フランス革命後の自負に満ちた芸術家に変わってきている。暗い悩んでいるベートーベンの姿は見られなくなったようです。

 一度音楽室の肖像画がまかれてしまうと、なかなかそのイメージを払拭するのは難しいのですね。超人的で悲壮感をただよわせた英雄のイメージは私達日本人好みなのでしょう。

結局、1970年代にアントーニア・ブレンダーノという説が出てきた。アントーニア・ブレンダーノは、オーストリア宮廷の重臣だったビルケンシュットク伯爵家出身で、富豪フランツ・ブレンターノにのぞまれて18歳で結婚。ところが嫁ぎ先にはなじめず、重度の心身症を患うかでになるのは、まさしく女性問題で、佐多稲子氏は、どう書くか、又芹沢光治良氏はどう描くか興味を持ったがこの本が書かれたのは、1961年なので、アントーニア・ブレンダーノ説はまだ知らないことになります。

 

 愛は無限の喜びを歌う ーウエーバー    畑中良輔

畑中良輔 バリトン歌手、音楽評論家、東京芸大で教える。

 わが恋もまた終わらず ーシューベルトー  小堀杏奴

  小堀杏奴(こぼりあんぬ)は、森鴎外の二人目の妻の次女で、エッセイストだから、あのエステル伯爵の娘のカロラインの悲恋だろうか?しかし、これは事実ではないといわれているけど、どういうことを書いているのか?

 エステルとアンリエット ーベルリオーズー  尾崎喜八

 尾崎は、ロマン・ロランを原書で読みたいためにフランス語を習い、自分の詩集をロランに送り、以後ロマンと文通する仲になった。また、ベルリオーズの著作である「ベートーベン交響曲の批判的研究」の翻訳を手がけているのでこの人選になったのだろう。

 女の愛と生涯      ーシューマンー    新田 潤

新田潤は戦前、戦争中でも反権力を貫いた人であり、文壇野球チームのメンバー。そのメンバーは、調べると田村泰次郎、井上友一郎、獅子文六、今日出海、船橋聖一、石川達三、河上徹太郎

 シューマンは、母の希望に従って法律を大学で勉強するが、本当は、文学と音楽に情熱を傾ける。その時、憧れのピアニストフリードッヒ・ビークに出逢い、娘のクララ演奏を初めて聞く。ここから新田氏はどう書いているか?なぜ新田氏が書くか、読めば何かつかめるのではないか?気になりますね。



 悲恋のピアノ詩人   ーショパンー      小山いと子

 小山いと子氏は、直木賞作家で、この頃は作品が良く映画化されている。

 狂詩曲の人       ーリストー       芝木好子

 芝木好子は浅草出身の作家。作品が映画化されている。芥川賞作家で女の夢と愛を端正な文章で織り上げた作品を書く。それで、リストをどう書いたのだろうか。

 ワーグナーと女性                 河上徹太郎

 河上は、東京府立一中で小林秀雄の一年先輩。一高の時に休学し、ピアノを習う。東京帝大生の時に「音楽に於ける作品美と演奏美」を発表する。文芸評論家で音楽評論家。

 恋愛から芸術へ    ーブラームスー    吉田秀和

 などが見られます。

 これらすばらしい執筆陣の名kで音楽家と恋愛という項目の一番目にモーツアルトの結婚ということで

芹沢光治良氏が執筆していることは、その音楽的教養、音楽と女性というこの本の目的から、女性の生き方を書いてきた芹沢氏はまさにふさわしいものと思います。

   

 芹沢先生が、「モーツアルトの結婚」では、どのように書いているか、興味有りますね。書き出しは

モーツアルトの音楽とその生涯を思う時、私は一つの挿話を思い出す。

 この原稿を書いている30年前、パリで勉強していた頃、先生が作家になる前の頃です。

 続く

投稿者: 管理人 日時: 2008年01月23日 21:17
posted by セリブン at 21:17| Comment(0) | 芹沢光治良と音楽
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