seri1.jpg unmei6.jpg 芹沢光治良研究 鈴木吉維著 : 芹沢光治良文学愛好会

2007年12月02日

芹沢光治良研究 鈴木吉維著

 鈴木吉維(よしつな)氏が、「芹沢光治良研究」をおうふうから出版された。

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日本の文壇と深く関わっていない芹沢が、日本文学という範疇の中で、研究される事は、残念ながら少ない。文学愛好者や文学研究者の頭の中には、文学という概念が縦割り的に育まれてしまって、その枠に外れている作家は、どうしても無視しているのではないか?無視するというより気がつかないということだろうか。野上弥生子しかり、芹沢光治良しかり。

こういう状況で「芹沢光治良」の研究書が出た。筆者の鈴木氏は、愛好会の会員であり、日中文化研究会が発行する『曙光』の編集の責任者であり、『解釈』『思索と実証』などで、文学論を発表している、新進の研究者である。

考えてみたら、私がまだ20代の頃、芹沢光治良に夢中になったのは、芹沢作品というものが学校で教えてくれなかったものを教えてくれるところにあった。特に、神については、明確に書かれており、『人間の運命』等から学んだ。現代の教育の問題では、神の問題というか、宗教についての教育があるなら、その大部分が解決されるかもしれない。少なくとも怪しげな宗教団体に属し、道を踏み誤る多くの若者を救えたのではないだろうか?そのためには、芹沢作品は教科書に載せるべきだとずっと思っていますが、また、大河ドラマで、取り上げてほしいと思いました。芹沢光治良作品で自分なりに神についてのイメージを持っている時に出てきた『神の微笑』については、嬉しいだけでなく驚愕の気持ちも起きた。

 『神の微笑』が刊行された時は、政治と宗教について真正面から中山ミキを通して語られる長編小説で毎年興奮して読み込んだ事を思い出した。この一連の「神シリーズ」と呼ばれている8冊について、どうとらえているか、見事に書かれています。その内容は、秘密です。

 鈴木氏の深い読みは、『人間の意思』に出てくる「野辺道子」という名前一つとっても芹沢がその名に意味あるものを教えてくれる。最晩年の作品群についての本格的評論です。芹沢がなぜこれらの作品を書き続けたか、鈴木氏の視点で、ひもといてくれます。

 もうひとつ特筆すべきは、「習作期から作家への道に」という章にかなり枚数を使っていることです。特に『学友会報』『校友会報』『自分たち』は、芹沢評論については、私が知らなかった芹沢光治良を教えてくれました。

 



投稿者: 管理人 日時: 2007年12月02日 16:03
posted by セリブン at 16:03| Comment(0) | 芹沢光治良の作品について
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