100de名著に芹沢作品を取り上げていただきたいために、このような文を考えました。
今後、扱って欲しい名著
芹沢光治良の『巴里に死す』
理由
7月8日にテロが起こり、あの悪夢と言って良い暗い戦前の社会情勢に近づいているのかと不安になっています。芹沢の『巴里に死す』は第二次大戦末期の最も凄惨な状況下に書かれています。戦争中、人間の生命が軽んじられ、生命は尊く死を急ぐなと、絶叫したい気持ちを耐えて、この慎ましい小説を書いたと芹沢は、言っています。主題は「命の尊厳」です。戦力増強に資しない作品ととられてもおかしくありません。しかし芹沢は一度も軍からも編集部からも注意を受けないで、しかも一字の伏せ字もなく、作品は「婦人公論」に昭和17年1月から12月まで連載され、完結しました。湯川編集長が、反戦的な作品ではなし、銃後を激励する作品として、多くの読者が感動して寄せる手紙を、毎月提出して、軍の避難を外し、単行本を6千部出す許可と紙の配給をようやく得たと芹沢に苦労を話しています。
文案を校正させていただきました。職業病なのでお許しください。
「近づいていまる」→「ている」
「つましい」は「倹しい=倹約」なので、「慎ましい」ほどがベター? あるいは「格調高い」などとしてもよさそうです。
「資しない」→「資さない」
「軍の避難」→「非難」
でしょうか?
読書会にはなかなか参加できませんが、今後ともよろしくお願いいたします。