女王様のお気遣いに触れて 平石政行(三重県鳥羽市)
エリザベス女王の訃報をラジオで耳にしたのは九月九日の早朝でした。異国の女王様ながら親しみを覚えるのは、直に一度お見掛けした記憶があるからでしょうか。
時は四十七年も前に遡ります。 当時私は鳥羽市内に在るミキモト真珠島に勤めていました。
この小さな島に英国の女王様がお見えになるというので社内は大騒ぎです。 社員百名余りの中で男子は僅か二十数名、各自綿密な役割分担と行動計画を基に五月十一日を迎え
ました。
私はパッキンガム宮殿直属のマスコミ関係者数名と小型船に乗って海上待機、 陸上から海女作業をご覧になられる女王様を、海を隔てた船の上から取材するという趣向です。
「どんな質問にも答えられるようにしておけよ」と、上司に言われて勉強したことを記憶しています。
四十名の海女さんが一斉に海に飛び込みました。海一面、 白い花が咲き揃ったような美しさです。
海女さんの一挙一動に、真剣に見入っておられた女王様のお姿が、 今も脳裏に鮮明です。
当初の予定より少し早めに終了のサインが出ました。
「海女さんたちが寒いから・・・」という女王様のご配慮であったことを後から知り、思いやり深いお人柄に触れる思いがしました。
後にも先にも例を見ない客のおもてなしも無事終えました。
携帯もスマホもない時代に、人海戦術で互いに連絡を取り合って、よくやったなと思いす。
二十八年近く勤めさせて頂いた私にとっても、忘れることのできない大切な想い出です。
いただきました。この件で、一層、平石さんの英語への情念が深まったのではないかと、推察致しました。
それにしても、女王の心使いと、一生を国に捧げた心意気
には感動しますね。
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