« 大分の読書会のお知らせです。 | メイン | 芹沢好治良が読んだ本2 »

芹沢光治良先生が読んだ本

  5月4日(日)は、芹沢光治良先生の誕生日でした。

この日、芹沢光治良についていろいろ考えていました。芹沢光治良先生の作品の魅力についてとか、その作品についての魅力は、 なぜ生まれたのか、作家の生きる姿勢が仮に影響を与えたとしたら、芹沢先生の長い作家生活に生きていたその時代、 時代の他の作家の生き方とあまりにも違う芹沢先生の生き方から生まれた作品の特長など、仕事と雑用の合間に、 巡るべき思いに時間をたつことを忘れてしまいました。

 勝呂先生が、芹沢先生の評伝を書かれて、作品と芹沢光治良という人間の関係を理解し、 私は芹沢光治良作品の読みが深まったと思いますが、人間芹沢光治良をもっと前面におしだした「伝記芹沢光治良」 を読んでみたいという強い気持ちが起こって、なかなか消せないでいます。これを書いている今もまさしく、人間芹沢光治良を知って、 作品を読むとさらに違う芹沢光治良文学作品の世界を知るのではないかと考えています。

 人間芹沢光治良の側面を思わせる事を書いていきたいと思います。

 芹沢先生が最も精読した本を三冊あげるとすると、一高二年生の時に読んだ西田博士の『善の研究』ベルグソンの『創造的進化』、 フランスへ渡ってからのデュルケームの『社会分業論』だそうです。この三冊の本も福音署を除いてと断り書きがあるそうなので、 福音書は相当読んだのでしょう。

 数回アンダーラインを引いて精読したその読後感は、月例会でお会いしたときにお話しさせて下さい。

 芹沢先生は、東京帝国大学で経済学の勉強をしますが、そのきっかけを与えたのが、河上 肇氏の『貧乏物語』です。 この書物が芹沢先生に経済学を教えたと書いています。

三年の時に、河上肇の貧乏物語を読んだがこの書物が経済学というものを払に教えた。 この書物に流れている倫理観のようなものにより強く打たれたのだろうが、経済こそ、自分のしたい学問だと、その時思った。 中学を卒業するまで、貧しい農村で貧困と無知のなかで、人間のさまざまな不幸を見聞し、自分もその不幸をなめながら、 遠からず神の国になって神によってその不幸から救われるものと期待していたが、神を持つまでもなく、 人間が精算と消費を合理的にすることによって救われることを、貧乏物語は感じさせたから。それからというもの、 私は河上博士の著述やいろいろの学者の経済書を読んだが、貧乏物語ほど感動を与えられた書物はない。

 ところで、芹沢光治良先生は、 東中野の自宅が戦災で焼けましたが書庫は残っていました。 1949年(昭和24年)頃、その書庫は省線 (先生の小説に出てくる言葉です)、えー国電、今はJRといいますが、中央線の電車の窓からその書庫が見えていたそうです。 その時の写真があれば是非見てみたいですね。芹沢先生は、年に3,4回、世田谷から多聞小学校の前の道を通り、渋谷に出て、 書庫に風を入れに行っていました。

 私達から見ると最後まで手近においたものには、興味を持ちますが、 芹沢先生は、それらの書物に対して未練や執着が多いと書かれています。 残った書物を愛しむより書斎で焼いた荷物をくやむ方が多いと書いています。

 かぜを入れに行った昭和24年の3月頃、書庫の扉を開けたとたん、野ねずみが飛び出してきてビックリしたそうです。

 この事に対して芹沢先生がどうしたかというと、焼け残った書物に未練がましく風を通しに来る執着がわれながらいやらしくて、 その床の穴を埋めないでおこうと思ったが、焼け残りにトタンを床にひいておいたところ野ネズミが入るような気配がなかったそうです。

 この原稿を書いている途中、マグノリアに行き、森高様のお話を聞いてきました!

 ただ、感動で胸がジンと来ました。奥様の原稿の朗読もこの感動に大きな作用が働いていたのですね。

 芹沢文学を知って、多くの大切な人と知り合うことになりました。文学で知り合った人のおかげで自分がある。 自分がコツコツと働いているとすばらしい人を見えざるものが用意してくれていると思います。

 

 

 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://serizawabungakuaikoukai.jp/bin/mt-tb.cgi/154

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

About

2008年05月06日 21:52に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「大分の読書会のお知らせです。」です。

次の投稿は「芹沢好治良が読んだ本2」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。